今年は7月6日の集中豪雨で当園のとうもろこしの株が100%倒伏しました。
そこで、とうもろこしは倒伏するとなぜダメなのかを私の経験から書き出してみたいと思います。
自分の備忘のため、また、お客様に今年の当園のとうもろこしがどのような状態であろうかということをお伝えするためでもあります。
とうもろこし(スイートコーン)の木(茎)が倒伏した場合に発生しうる問題は以下のとおりです。
1.虫害にあいやすくなる
2.獣害にあいやすくなる
3.実が傷む場合がある
4.穂が汚れる
5.味(甘さ)に影響がでるかもしれない
6.粒の入りに影響がでるかもしれない
7.管理作業・収穫作業がしにくくなる
8.病気が発生しやすくなるかもしれない
以下、解説です。
1.虫害にあいやすくなる
虫食いが発生しやすくなり、アブラムシがたかりやすくなります。これは7.の管理作業がしにくくなることと大いに関係があります。
2.獣害にあいやすくなる
野生動物(アライグマなど)が容易に手が届くようになるためだと思いますが、獣害が増えます。良いものから順に被害にあいます。
3.実が傷む場合がある
とうもろこしの穂は立った状態では雨などの余分な水を排水するようです。が、寝た状態になると穂の中に水が溜まる場合があります。
水が溜まり、実が窒息して傷んできます。
4.穂が汚れる
雨による泥跳ねで穂(お客様が買う状態の「とうもろこし」)が汚れます。(1.に関連して)アブラムシがたかった場合も汚くなります。
5.味(甘さ)に影響がでるかもしれない
各株への日当たりが悪くなるため、味に影響が出るかもしれません。
6.粒の入りに影響がでるかもしれない
受粉のタイミングによって、あるいは日当たりが悪くなることにより、粒の入り(実の入り)が悪くなることがあるかもしれません。
7.管理作業・収穫作業がしにくくなる
まず、作業自体がより過酷になります。農薬散布にムラができたり、(今年はしていませんが)土寄せができなくなったりします。
収穫に手間取り、収穫量が減ります。また、作業中に私が穂(実)を踏んでしまう(3.実が傷むことにつながります)場合もあります。
8.病気が発生しやすくなるかもしれない
未確認ですが、風通しが悪くなるのは間違いないので、病気が発生しやすくなるかもしれません。
また、とうもろこしは大雨で強風が吹くと倒伏するのですが、それだけではなく、
栽培条件によって倒伏のしにくさ(有利)、しやすさ(不利)があります。一概には言えませんが、以下はおおよその傾向です。
a.不耕起栽培は有利
b.砂質土壌は不利
c.マルチ栽培は有利
d.耕起を念入りに行うのは不利
e.早生品種は有利
f.晩生品種は不利
g.水捌けが良いのは特に有利というわけではない(マルチ栽培では有利かも)
h.土寄せは特に有利というわけではない
ちなみに、とうもろこしの成長段階により、倒伏後の回復能力に違いがあります。
I.雄穂(雄花)が出るころまで・・・回復力は強いです。特に株がかなり小さいうちは、完全に直ることも多いです。
II.絹糸(雌花)が出るころまで・・・回復力が衰えてきます。ある程度立ち直るのですが、完全には元に戻りません。
III.穂(実)が肥大しているころ・・・回復力は弱いです。多少は起き上がるのですが、ずっと低い位置で斜めになったままです。
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2022/07/12 公開
2022/07/14 加筆 倒伏のしにくさ(有利)、しやすさ(不利)について