前回の続きです。
そして販売価格。
兼業農家は、農業については、ほぼ誰もが赤字だと思います。
専業農家でも、相当大規模な農家以外は赤字の農家が多く、黒字でも補助金や公的資金を大量投入してギリギリの状態が
普通でしょう(そして所得はスズメの涙ほどです)。
ということは、やはり農産物が安すぎるのです。
輸入品との差別化が難しいことや、政策による価格維持への誘導、消費者の意識などが原因だと思います。
農産物の価格が高騰したら、世の中がめちゃくちゃになってしまいます。
かといって、いまのままでの価格水準なら、農家は絶滅するか、奴隷のような待遇を抜け出せません。
農産品の価格は今の5倍~10倍程度でないと零細農家は経営と生活の維持・発展ができないと思います。
これは、まるで先進国と後進国の格差みたいです。
格差といえば、日本は豊かになりました。
食べ物(加工品や肉など)は美味しくなりましたが、野菜は不味くなった。
品種や栽培技術は進歩しているのに、野菜は不味い。
流通が発達したから。鮮度が落ちたから。不味いものでも売りきることができるようになったから。
美味しい野菜はどうしたら食べられるのか。
もしかしたら、私は山の人間なのでそう思うのかもしれません。
海の人たちは、魚が不味くなったと思っているのかもしれないし、
梅干しの産地の人たちは梅干しが不味くなったと思っているかもしれません。
いずれにせよ、この価格ではどうしても商売を続けられません。
これがまだ始めたばかりなら「少々の赤字は当たり前」で済んでしまうのですが、
とうもろこし(Lサイズ)1個をつくるのに1,000円の元手をかけて、200円で売ってしまう
面白い(ヘンな)おじさんを続けるわけにはいかないので、借りていた農地を全てお返ししたのですが、
もし実際に「別にボッタクっているわけではないので1,000円払ってください」と言ったら
お客さんは1,000円払ってくれるでしょうか...?
無理でしょうね。