■日本の食料自給率は低くない
日本の食料自給率は、金額ベースでは先進国では普通程度の値。
カロリーベースで日本だけ極端に低いのは、小麦を作っていないのに小麦の消費量が多いから。
フランスは小麦を作って小麦を食べ、ドイツはジャガイモを作ってジャガイモを食べている。
これらの国が大量にコメを食べるようになったら、これらの国のカロリーベースの食料自給率はグッと下がる。
日本はヨーロッパ諸国よりも人口が多く、人口密度も高く、それでいて金額ベースの食料自給率がそれら諸国と同等程度なので、
効率よく農産物を作っているといえる。
■農業者人口が減るのは必然
農業者の所得はかなり低い。だから農業者は減る。
兼業農家は赤字でコメを作っている。だから後継者がいない。
できる限り大規模な農業が経済効率が良い。農地面積には限りがあるので農業者は少ないほうが良い。
■耕作放棄地が増えるのは必然
事業として成り立つ農地を放棄するバカはいない。
事業として成り立たない農地は耕作放棄地にするのが一番経済効率がよい。
事業として成り立たない農地が耕作放棄地になる。
■事業として成り立たない農地とは
労働生産性、土地生産性が低い農地。何から何まで費用対効果が低い農地。
たいていは山奥の狭い農地。
■赤字でも農業をやる意義
国土秩序維持(景観、治水ほか)、新鮮でおいしい農産物、教育、人心情緒、人為介入による豊かな自然。
食料安全保障としてはほとんど意味がない。
■食料安全保障はどうするのか
肥料、エネルギー、諸資源が止まれば、現代農業はできない。
食料安全保障は農地と農業者だけではどうにもならない。
■耕作放棄地への新規就農者、無農薬有機栽培
食料自給率の向上にはほとんど貢献しない。
食の安全にも特に影響しない。
上記の「赤字でも農業をやる意義」に資する。
■あやしいキーワード
食料自給率
食料安全保障
食の安全
農業者を増やす
耕作放棄地を減らす
持続可能で環境にやさしい農業
いずれもそれらしく聞こえますが、いずれも論点がずれていて、時にはペテンの臭いさえします。